研究テーマ
私の研究テーマは 光の偏光特性を用いた生体評価技術の確立 です。
を目指しています。

(1) 円偏光散乱現象の理論的解析

一つの粒子に対する円偏光の散乱現象をシミュレーション上で再現し、それを多重散乱モデルに導入したモンテカルロシミュレーションを構築することで、生体組織の様々なパラメーター(細胞核の形状、光学係数)や光学配置、照射光の波長などに対する応答を調査しています。 また、早期胃がんやスキルス胃がん、潰瘍性大腸炎など様々な病変に対する有効性を理論的に検証しています。
関連論文
- "Monte Carlo simulation of scattered circularly polarized light in biological tissues for detection technique of abnormal tissues using spin-polarized light emitting diodes"
JJAP, 59(SE), SEEG03 (2020).
(2) 円偏光散乱現象による生体評価の実験的実証

生体模型では、実際の生体組織では複雑となる各種のパラメータを個別に抽出し、それぞれの寄与を検証することができます。生体模型はフォトリソグラフィなどの微細加工技術を駆使して系統的にパラメータを変化させて作製しています。 また、生物学および医学系研究者との共同研究により各種病変の生体組織を準備し、その円偏光応答の検証を行っています。光学系には入射角や検出角を自在に変化させることができるダブルアーム回転型検出装置を構築し、その上に光源と検出器を設置することで系統的な光学配置依存性を検証しています。
関連論文
- "Angular optimization for cancer identification with circularly polarized light"
Journal of Biophotonics, 14, (3), 202000380 (2020).
Press Rerease 東工大ニュース Tokyo Tech News
(3) 円偏光素子(スピンフォトニクス素子)の開発

- Reveiw Paper "Lateral-Type Spin-Photonics Devices: Development and Applications"
Micromachines, 12(6), 644 (2021).
- "Pure circular polarization electroluminescence at room temperature with spin-polarized light-emitting diodes"
PNAS, 114(8), 1783-1788 (2017).
Press Rerease 東工大ニュース Tokyo Tech NewsSeiichi Tejima Research Award (Paper Award)
- 「円偏光発光ダイオード」(特開2020-136576)
- 「磁壁移動型スピン発光素子」(特開2015-41690)
- 「デュアル電極型スピン発光ダイオード及びレーザー」(特開2014-120692)
(4) 生体評価デバイスの開発

これまでの研究で散乱光の出射角に応じて散乱領域の深さが変化することが明らかとなっています。これを利用すれば、組織中の深さ方向の組織分布を知ることができます。 そこで、出射角(検出角)の異なる光を同時に検出できるデバイス構造をデザインし、特許を取得しました(右図)。 この構造では、放物面鏡を用いることで出射角の異なる光を個別の検出器で検出することができます。 現在はこのデザインの10倍模型を作製して機能の実証を行っています。 関連特許
- 「内視鏡先端装置」 (特許第7352251号)